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「コレジャナイ」では済まされない2015年06月14日 18:14

ホントはサイトのトップ絵を描いてたのに、悲劇的なニュースを観てしまったので、別の絵をアップしました。
ガンバの冒険ノロイさんです。
ガンバの冒険のノロイさん
大きな絵はサイトTINAMIに置いてます。

いやあ、ねえ。
なんかネットでガンバの新作のニュースを知ったので、キャラクターデザインとか予告動画を観てしまったんですけど。

あかんわあぁ。

多くの人々から「コレジャナイ」と言う感想が上がっているけど、それでは済まされない。
コレはミスやわ。

3DCGで描かれたアニメになっているけど、日本お得意の「セルルックCG」にしたほうが良かった。
まあ天下の巨匠出崎統監督やキャラクターデザイン椛島義夫氏、美術の小林七郎氏、男鹿和雄氏、レイアウトの芝山努氏ら、超ゴージャスなスタッフの1975年版アニメの真似を今更するのも無理はある。
ガンバをアニメ化するなら全然違う表現に挑戦するのは、むしろ妥当な判断かとも思われる。

しかしや……
劣化させてどうするよ。
キンキラリンのCGでペットの様な毛並み。
オブジェクトをペタペタと貼付けただけの安っぽいCG。
なにより、あのデザイン、何よ!

どーも、今回のアニメはアメリカ人がプロデューサーになっており、海外展開を考えているフシがある。
しかし、アメリカの後追いのデザインでは、単なる劣化コピーやんけ。

っと言うのは言い過ぎ。3Dガンバの造形は、なんとか可愛くしようと言う意図も見受けられる。
だがやはり、過度なディティールアップで無駄な情報をキャラにつぎ込み、無駄に不気味にしている。
目つきも悪い。ガンバ潮路らしきキャラはそれなりに可愛くしようと言う努力は見受けられるが、他がオッサン臭い。
何よりバタ臭い。
これで構想15年、総制作費20億円って、なあ。
20億円はいいとして、15年間なにやってたんやろ?

監督の河村友宏小森啓裕は新人らしく、どうやら普通のアニメ制作には関わった経験が薄い模様。
そりゃ普通のアニメ関係者なら、こんな火中の栗を拾う様なアホな企画には参加しないわなあ。

アメリカのデザインラインに沿った作品では個性も何も無く、海外からも否定されてしまうよ。
日本のアニメがウケている要因は、非アメリカ調のデザインを確立しているトコロ、日本の個性がウケておると言うのに。
「アナと雪の女王」とか言うのは歌でヒットしただけで、キャラはE.T.の異星人みたいに不気味。表情も何故か困り眉毛やしかめっ面の様な不愉快な表情になる。どこが良いのかサッパリ分からん。
日本でファンアート描いている人も日本調で描いている事が多い。
ビジュアルには不満があるのだ。
それが分からんとは思えないのだが、アメリカ人プロデューサーと15年間揉めていたのかな?

まだ3D版ではノロイのビジュアルが公開されていないが、まあ期待はできない。
ヨイショらしきキャラに眼帯が無い。ノロイ眼をやられたと言う設定が無いようだ。
もしかしたら、ノロイ軍団との戦いもアメリカンカートゥーンみたいに、ポカポカとホノボノ殴り合い描写になる恐れがある。
海外ではアニメでバイオレンスシーンが規制されているようなので、何の害も無い映像になる恐れがある。

出崎ガンバでの「日本のアニメ史上最も恐ろしい悪役」と言われているノロイ
しかし、「醜いバケモノ」では無く野生生物としての美しさも併せ持つ希有なキャラである。
これが近年のグロテスクなアニメや漫画とは一線を画す名作と言われる所以の一つである。
原作の斎藤惇夫氏も
「八丈島でみた毛が白く輝いて見えたイタチなんです。ふつうのイタチなんだが、その白い姿があまりにも美しく」
と述べている(ロマンアルバムね)
ちゃんと再現しているのである。
また、同じく斎藤惇夫氏曰く
「16匹から7匹へまとめられたのは、良いことだと思います。ぼくの作品の中で、16匹全員が動いてなかったというのが欠点」
出崎ガンバの改変点を誉めている。

今度の3Dガンバも7匹に纏まっているので、出崎ガンバを意識していると思われるが、なんであんな「不気味の谷間」にドップリとはまり込んだデザインにするかなあ。
なんで、口やらマブタやら無駄なディティールを描くかなあ。
色調も主役ガンバ寒色系のみ。地味。
スタイルも何か変……

っと愚痴ってみても、平成産まれの人々は違う感覚なのかも?
「昭和のショボイアニメにノスタルジーを感じるなんてねえ」
なんて思っているのかも知れない。
しかし、駄目なものは駄目。
安住紳一郎とか言うアナウンサーがユル・ブリンナー「王様と私」を知らないと堂々と言ってしまう情けない現代。
へたすりゃ「荒野の七人」も知らないかもしれない。テレビに出るなら必須教養として観ていて貰いたい物だ。こんな事だから柳田理科雄と言う俗物に騙されるのだ。
で、出崎版のアニメ企画書には「動物による荒野の七人」と記述している。そこまでやってやろうと言う意気込みだったわけである。
荒野の七人の原作である、「七人の侍」にも対抗しうるアニメなのに。
映画の「七人の侍」では侍役の三船敏郎志村喬らは強そうで存在感があるが、敵の野武士軍団にキャラが居ない。何とか逆光で撮影したりして迫力出す演出にしているが、菊千代久蔵勘兵衛の方が強そう。
この敵キャラの物足りなさを補完したのが「ガンバの冒険」なのである。