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シン・ゴジラを見た2016年08月11日 17:42

特撮映画って男の子のものなのよねー。縁遠いわねえ。
でも例によってねこにゃー先輩に誘われて某日シン・ゴジラを見に行ってしまいました。本当は見る予定はなかったのよ。

喫茶店のりぼんちゃんとねこにゃー先輩
総監督は「トップをねらえ!」「ふしぎの海のナディア」「へたな鉄砲も数撃ちゃあたる!」「じょうぶなタイヤ!」DAICONフィルムでお馴染みの庵野秀明。例のごとく樋口真嗣がサポートしてるので映像面は頑張ってると予想した。
樋口真嗣氏は世間では悪く言ってる人もいるみたいだけど、曰く日本沈没、隠し砦の三悪人(ともに新しい方)、進撃の巨人。
しかし、どーやら他人の不始末を片付けただけのようである
引用
日本沈没「あ、これ撮る事だけ決まってて本が無くて、監督がいなくなったから…」
隠し砦の三悪人「リメイクの権利の期限が切れるのにとらなきゃって話で…」
進撃の巨人「ほかの人が監督やるはずだったんだけど居なくなって…」
引用おしまい

他にもふしぎの海のナディア島編火中の栗を拾う覚悟で担当したという苦労人のようである。

そういえばエヴァンゲリオンとか言う作品も作ってたようだが、あんまり覚えてない(笑)。

んで見てみた感想であるが、芸風が全く同じで安心した(大爆笑)。

ここからは例のごとくネタバレ、というか見てないとサッパリ理解できない文面。

深刻ぶった会議で情報量満載の会話をして、馬鹿馬鹿しい大怪獣が出てきて大騒ぎ、そして深刻会議の結果、トンデモ作戦を実行して「完」
見事な庵野秀明パターンである。
熱核爆弾の危機は庵野秀明顔出しウルトラマンであるし、「ヤシオリ作戦」ヤマタノオロチを退治した酒で酔っぱらわせる昔話。これはDAICONフィルム「八岐之大蛇の逆襲」だ。全く同じネタを繰り返してるわけだ。
何も悪い事ではない。
無理に背伸びしてエヴァンゲリオンとかいうカッコつけたアニメなんか作らずに怪獣ごっこ映画を何回も作ってりゃあいいのだ。そこに最近見聞きしたニュースのネタなんかを織り込んでいたら、客は
「リアルだ!」
と喜んでくれるわけだ。
成長前のゴジラ東日本大震災の津波を思わせる映像になっていて自動車などをぐちゃぐちゃと押しのけてくるが、怪獣の造形は羽毛恐竜っぽい、かと思ったら、怪獣に詳しい人から言わせたらウルトラQのピーターとか言う怪獣そっくりらしい。検索してみてみたら確かにそーだ(笑)。こりゃ確信犯だろう。庵野秀明ウルトラQを知らないはずがない。

ごっこ遊び、というのは何も貶して書いてるわけではない。ごっこ遊びは本気でやらなきゃシラけてしまう。本気にはリアリティ、っと思えるような味付けが必要だと判断してるのだろう。政府筋自衛隊に入念に取材したと言う内容ではあるが、多量の情報を役者に早口で喋らせ客に判断できないまま煙に巻いてその気にさせる演出である
会議室なんかも政府筋に取材してセット作ったとの事だが、飾りっ気や経年劣化は不要で、そっけない部屋にパイプ椅子と事務机、事務用品にパソコンを借りてきただけ。リアルといえばリアルだが、安上がりなセットだ。しかもドアップの人物背中越しとかいろんな所を隠す絵作り。こうやってCGと役者のギャラを捻出してるわけである。良い工夫である。実相寺昭雄アングルとか言うものであるけど。

こういう殺風景な部屋でブラック企業よろしく働きづめで対策して会議して、馬鹿馬鹿しい大作戦を考える
コレは何がモデルか?
アニメや怪獣映画の企画会議そのものだ!
自分たちが普段してる事をそのまんま映画にしてると言って良い。
そりゃ実感がこもるわな。
この映画はシン・ゴジラの企画会議そのものを映画にしてるのだ。

だがしかし、肝心の映像は?
うーむ。やはりCGやなあ。実写の人物との違和感は拭えない。もっとも10倍以上の予算をつぎ込んだハリウッド映画も同じなのでコレは贅沢なイチャモンであろう。
むしろ、あえてミニチュアっぽく撮影しているシーンもある。

体高100m以上の大怪獣が都市を蹂躙しながら歩くわけであるが、火災に臨場感が無い
あんだけ燃えたら黒い雨が降るよ

ゴジラ災害で生じるゲリラ豪雨

昔のアニメ「新造人間キャシャーン」では超破壊光線を放った後は空襲の後の黒い雨が何の説明も無く降ってきたのに、シン・ゴジラ描写は甘い。
雨雲の高度は大体600mくらいなのでゴジラと比べたらこんなもんである。雨が降らない方がおかしい。
やっぱりここが、戦前生まれと戦後生まれの差やなあ。

また尻尾の長さが大体200m以上あると思うけど、これを振り回すと先端は音速を超える事があろう。音速は大体秒速340m程度。尻尾を左右目一杯に1秒間で振ると音速は超える。衝撃波の被害が街中に広がる。それ以下の速度でも太い尾が巻き起こす強風は地面に竜巻並みの被害をもたらすだろう。
もっとも柳田理科雄が衝撃波ネタが好きで、ウルトラセブンが自らの衝撃波で真っ二つになるとかツマランネタを書いてるが、衝撃波はそんなにすごい威力は無い。衝撃波で真っ二つになるような弱いウルトラセブンでは怪獣と殴り合いなんかできやしない。
ゴジラも同じで劇中で言われる様に普通なら自重に耐えられないくらいの巨体なので、その頑丈さは高層ビルの比では無い。骨や身体の組織は現代の科学技術では作れないほど頑丈であろう。そうで無いと転んだだけで死ぬ。
こういう頑丈な奴に攻撃ヘリの機銃が通用するはずはなく、10式戦車の砲も通用するわけは無い。皮膚を貫通したとしても画鋲が刺さった程度の痛みだ。
通用するのはバンカーバスターガルパンに出てきたカール80cm列車砲戦艦の大口径主砲砲弾しかなかろう。劇中はそういう描写にしていた。
んで、爆笑を誘った無人在来線爆弾は実は理にかなっている。列車は結構大量な爆薬を輸送できるはずである。(停電してるんではないか?と云う野暮は言うな)
だがしかし、高層ビルの下敷きになって動けないのはイタダケナイ。
あんなモノはゴジラにとっては砂浜の砂のようなもんだろ。

てなワケでシン・ゴジラは攻撃は強いが防御に弱い奴である。
これでは平成ガメラに負ける。
ウルトラマンはスペシウム光線を使わずに勝てる。

また、ゴジラ遺伝子解読のシーン
紙を折ったら解読できた、なんて事だが、真っ当な科学者なら図形の対称性にはいち早く気づくはずだ。ここは拍子抜けである。一番アカンところである。
学者をなめるな。