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ガルパン劇場版を観た:3withネタバレ2015年12月13日 15:49

前の続きの感想文第3弾です。ネタバレと言うか観てないと分かりません。


前回書いた他人の評価として『ドラマの弱さ』というのはライムスター宇多丸と言う人がラジオで言った事のようだ。
検索して録音聴いてみたら、予想した論調と全然違ってた。
逆に疎開したシーンがダルくて無駄とか、ケイ預かった戦車をスグに返却するのが分からんとか、的外れな事を言ってた。
こりゃ駄目だ。
劇中の
「戦車があると、ほっとする」
と言う台詞が分からんのかなあ?わざわざ水島努監督の他の作品も観たりテレビシリーズやOVAもみて、劇場版は2回も観たと言うのに、こういう的外れな事を言われたらオハナシにならん。
私はテッキリ「アクションばかりで情緒が無い、内容が無い」と言ってるのかと思ったが、むしろ戦車アクションは誉めており、そこんところは支持できる。だがドラマの評論は的外れだ。
ライムスター宇多丸の評で頷けるのは今回の新キャラ愛里寿との出会いにもうちょい工夫した方がよい、と言うのがある。
でも吉田玲子氏の脚本はアッサリ目で出会いのシーンとかを劇的にはせずある意味自然に描くので、クドいとガルパンらしさが無くなってしまう。
アンツィオ戦のOVAは考証の鈴木貴昭氏の脚本なので、説明的になったが、ハデなアンツィオの面々を描くにはあれくらいが良い。

だがしかし、つめこみすぎで分かりにくいと言う感想は多々ある。私も然り。
面白かったと肯定的な人々も、詳細の把握はしていない。別に覚え切る必要は無く繰り返し観る価値があると言う評価となっている。これは共感できる。こういう映画があって良い。リピーターが多い様だ。
だが一見さんには情報過多と言うのもアタリ。その割には分かりにくい。
どうしたモノか?

ここからは批判的と言うか改善点になっちゃう。


ハッタリや強調が無いなあ、っと言う事になるのでは無いか?
新キャラも多々登場しているし、試合開始直前にライバルが助っ人に駆けつけるシーンなどもあるが、もっと強調できるのでは無いか?
テレビシリーズの演出とは懸け離れてしまうが、ハッタリかましても良かったのかもしれない。

今回人気が出た新キャラは継続高校のミカさんであるが、この人は自らBGMを演奏し印象づけており、知波短『雪の進軍』で盛り上げておる。

継続高校のミカさん
似顔絵のバストショットはコチラ

TINAMIはこちら

もっと個々のエピソードを客に印象づけるために大袈裟な演出ができたのでは?
映像表現で。
もっとやっても良いと思ったのは角谷会長文科省役人との折衝シーン。役人は無個性の眼鏡七三の一人だけだが、コイツらを複数人エラそーにズラズラ登場させて会長をヤリコメようとしても良い。役人軍団は逆光で顔を影で隠して良い。無個性軍団のクローン軍団でも良い。
大勢の役人相手に渡り合う角谷会長の大物ぶりが発揮されるし、台詞は逆に短めにして少し省略してしまっても良い。

試合開始前に各ライバル校が集結するシーン。
今回の名シーンであるが、映像的にもっと格好良くなるのでは無いかなあ?
例えばテレビ版のOP映像の様にまほエリカらがアオリで稲妻を背負って車田正美調のタンカを斬っても良い。
天候不順の夏の終わりの北海道なので青空の中に所々黒い積乱雲があり、いきなり暗転しても差し支えない。戦闘シーンでも雨中のプラウダ撤退戦もあるから伏線になる。黒澤映画みたいに草原を雲の影が走る演出があってもよい。
引き続きサンダース聖グロリアーナ等々から名乗りをあげる所もハデな演出があっても良い。

映像的には立体感を強調し、特に戦車オンボードカメラ映像など工夫を凝らしているが、更に前進させても良かった。
要するに
「画面レイアウト」
ここにもっと力点を置いても良かった。
今は亡き出崎統監督なら、要所要所で止め絵3回PANやら戦車ドアップスローモーションなどで強調し、尚かつ敵味方の位置関係をハッキリさせる演出をする筈
緻密な3DCGを使っているから、サスペンションや転輪などをもっとドアップで描き、走行中にガッタガタ振動する様も描けるはずである。
3DCGは下書きに使用し、手描きでタッチを強調する事も可能と思われる。

アニメータで言えば、これまた今は亡き金田伊巧調のメカデフォルメや、大張正己調ハイコントラストデフォルメなんかもいれて、ハッタリかます事もできるとは思うが?
しかし正確なCG戦車がセールスポイントのガルパンでは、デフォルメの誇張はウケへんかなあ?
せめてライティングと画面レイアウト、カットワークやなあ。

大学選抜も強敵感を出す為に、(これまた今は亡き)黒澤明調で煙の中を逆光でチンダル現象の光を演出し、戦車軍団を一つの塊の様に描く事もできる。

カットワークと言えばアンツィオ戦のOVAカトキハジメ絵コンテなのでテレビ版とは毛色が違ってた。アンチョビP40あんこう4号がすれ違うカットのスロー再生など、劇的な演出を意図している。
劇場版ではテレビと違った演出を取り入れても良かったのでは無いかなあ?

30輛対30輛の大戦車戦なので、何回観てもどの戦車がどこで何輛撃破したのか?客は集計するのも大変みたい。
やはり、敵味方の対峙を強調するカットを劇的に入れても良かったのかもしれない。

だがしかし、そういう演出は古くからあるので、取り入れてしまうとテンポが悪くなる弊害もあるし、客から
「古臭い」
とイチャモンを言われてしまうかも知れない。

なので、かっこいい重量感のある画面レイアウトが重要となる。
以前どこかで庵野秀明
「最近のアニメはレイアウトが悪い。宮サン(宮崎駿)も云々カンヌン。レイアウトの人だったのになあ」
とイチャモンを言ってたがアナガチ的外れでは無い。

ガルパン劇場版「画面設計」「画面レイアウト」と言うテロップが無いようだが、今後、もし2期とか造る予定があるのなら、画面レイアウトにまで気を配って欲しい。

もう1個注文。
今回の劇場版では学園艦の解体がハナシの核となっているが、肝心の学園艦の詳しい描写が無かったので初見の人にはピンと来なかったかも知れない。
学園艦は停泊している時は小さく描かれているので、映画の早い段階で洋上の巨大な映像を1シーンいれておく必要があった。

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