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ヤマト2199。ガミラスとイスカンダルの位置関係?2014年03月05日 21:20

今回の記事は山本弘著『こんなにヘンだぞ!空想科学読本』などを読んで無いとワケ分からんです。

「ガミラス星とイスカンダル星は距離が近過ぎるんじゃないか?」
とは1974年の昔からよく言われている事です。
未だに山本弘と学会会長らも書いてます。ガミラスとイスカンダルの正しい天文学
これはデタラメな著述で有名な柳田理科雄に対する記事です。

しかし、それってテレビ画面を観ただけの推定でしょ?山本弘会長自ら「柳田時間」「柳田距離」などと批判しているのと同じ事をしている。

ガミラスとイスカンダルの距離を考える前に地球と月の大きさなどを考えてみましょう。
地球に対して月と言うのは随分と巨大な衛星です。惑星に対してココまで大きい衛星は太陽系には冥王星くらいしかありません。冥王星は準惑星に降格しちゃったけど。
Wikipediaなんかみてみると、
月の直径:3474.3 km
地球
赤道面の直径:12756.274 km
極方向の直径:12713.5 km(赤道面よりちょい短い)
地球を廻る月の軌道
近地点距離:363304km
遠地点距離:405495km
なのだそーです。軌道と地球、月を同じ縮尺で描いてみると……

月の大きさと軌道の比較
えー!月って小さいのね。夜空では大きく観えますが、その距離は月直径の100倍チョイもあります。
身長170cmの人物を170m先から見ている様なモノです。
野球の硬式球は直径7.3cm程度ですが、野球の硬式球を7.3mから8m足らずの距離から見ている様なモノです。ちょうど打者・投手間の真ん中あたりのボールをバッテリーと打者が見ている様なモノです。

SFアニメや映画で地球と月をセットで描こうとすると、バカ正直に一番離れて観えるアングルからは描かないでしょう。

月と地球と軌道の図
月軌道の外から望遠レンズで2つの星をセットで描くでしょうねえ。この絵で
「地球と月が近過ぎる!」
っと文句を言うのは野暮です。
実際の惑星探査機「ボイジャー1号」も地球と月のセットの写真を撮影してますので、ググってください。

さて、宇宙戦艦ヤマトでのイスカンダルとガミラスの位置関係も似た様なモノでは無いでしょうかねえ?
その距離については確かな数値は出てなかったと思います。
イスカンダルとガミラスは、結構離れていると思います。

2199でガミラスに拉致された森雪は
「ここの月は大きいのねえ」
と言う意味の台詞を言いますが、見上げるイスカンダルの大きさは、そんなにバカでっかい物ではありません。
MASA Planetary Logの
では、イスカンダルの直径は地球の約1.3倍と言われているので質量は地球の1.69倍と推察されています。この根拠からしてガミラスも似た様なモノでしょう。

するってーっとイスカンダルの直径は約16582.8km。月の約4.77倍。
もし、イスカンダルとガミラスの距離が地球・月間とほぼ同じ程度なら、当然の事ながら月よりも直径が4.77倍も大きく観えます。
面積にして22.8倍も大きく観えます。

月より2倍遠くにあった場合、見た目の直径は約2.4倍デカイ。面積は約5.7倍デカイ。
月より3倍遠くにあった場合、見た目の直径は約6割りデカイ。面積は約2.5倍デカイ。
月より4倍遠くにあった場合、見た目の直径は約2割りデカイ。面積は約4割デカイ。

しかもイスカンダルの表面の大半は海なので月よりも光を多く反射します。明るく観えます。
面積にして月よりも4割程度大きく観えたら、印象としては相当に大きく見えるはずです。

1974年版でもイスカンダルから見たガミラスが巨大に描かれた絵もありますが、これはデフォルメ。

SFでは無い真面目な実写映画・ドラマでも月や夕日や朝日をデカデカと描く映像は珍しくも何ともありません。実写映像で月を大きく撮影するのはソレナリの機材とノウハウが必要です。ノウハウも機材も全く無い素人が月を大きく撮影しようとしても難しいでしょう。
それでアニメなんてデフォルメしてナンボ。
ガミラスやイスカンダルを大きく描いて良いのです。
ってゆーか、デカく描かねばなりません。
写実的に小さく描いても意味ありません。

また、地球から月は徐々に遠ざかっています。アポロが月面に設置した反射鏡にレーザーをあてて測定したトコロ、月は1年に約3.8cmずつ遠ざかっている事が分かっています。これは月が地球に及ぼす潮汐力がナンダカんだして、遠ざかっているのです。ナンダカんだは省略。
大昔は月はもっと地球に近かったと考えられます。
ここによると『月の謎
古生代オルドビス紀末(四億二千年前)には地球と月の距離は現在の43%しか無かったと推定されています。
もっとも潮汐力による影響は地球の大陸地形とか海水の量とかに左右されるので、月が遠ざかるペースは一定では無かった筈ですので誤差は大きいと思います。

イスカンダルとガミラスにも潮汐力は働きます。地球のソレよりも大きいので、お互いに遠ざかるペースも速いはずです。
イスカンダルが地球よりも古い星か?新しい星か?不明ですが、海が形成されて生物が陸上に進出して酸素があり、地球人が暮せる環境なので、形成されてから数十億年はたっているハズです。
そーいう超長期間の間に地球よりも強い潮汐力が働いている惑星2つなら、その距離は地球・月間よりも離れていて当然でしょう。
離れていても月より大きく見えるのです。
ガミラスとイスカンダルの距離関係
宇宙空間はほぼ真空で空気遠近法が無い空間です。遠近感がナカナカ出ません。
こういうアングルから描いたらイスカンダルとガミラスは近くにあると誤解されやすいのでしょう。
また、1974年版ではイスカンダルとガミラスの間に霧みたいなモノが描かれていますが、アレは星間物質でしょうか?それともオーロラかも知れませんが、角度的に濃密に見えるため、濃く描かれたわけです。ホントは100倍ほど薄いと考えます。

『潮汐力は影響を及ぼす側の天体の質量、および及ぼされる側の天体の直径に比例し、距離の3乗に反比例する。』
なので、イスカンダル・ガミラス間の距離から潮汐力が分かるワケです。
イスカンダル・ガミラス間の距離が地球・月間の距離と同じ場合
約656倍の潮汐力
2倍の距離であれば、約82倍
3倍の距離であれば、約24.3倍
4倍の距離であれば、約10.2倍
と考えられます。(計算間違いが無ければね)

まあ、随分と大きな潮汐力が働くんだなあ。っと思いますが、イスカンダル人やガミラス人、っとソレゾレの生物は元々ソコに居住しているので、その環境に適応しているワケです。
まあ潮の満ち引きはカナリ大きくなりますが、元々の環境なので、それに適応した港湾施設を建設するはずです。それに適応した湾岸都市を建造するはずです。
むしろ、潮力発電に適しているので、宇宙に進出する前でもエネルギー事情は潤沢だったかも知れません。
しかし、山本弘会長も指摘している様に、イスカンダルの海水量とか海の深さとかは一切不明なので、イスカンダルでどれだけ干満の差が生じるか?全く分からんワケです。

また、地球だって、先の『月の謎』からは
古生代オルドビス紀末(四億二千年前)では潮汐力は現在の12.6倍と推定できるのです
長い古生代は潮の満ち引きが現在よりも大きなモノだったのですが、だからこそ、生物が海から陸上に進出できたワケです。

でもまあ山本弘会長も「2つの星があまりにも近く描かれすぎている」と言うのはハヤトチリだ。
ホントの距離感で描いても絵になる訳ないでしょ!
山本弘も『こんなにヘンだぞ!空想科学読本』で柳田理科雄の事を書くのに、柳田がデッチアゲたデタラメな設定では、デタラメになる、っと書いている記事が多い。これではイマイチ。柳田もデタラメな結論を書くつもりで書いているので、柳田の亜流にしかならない。
書くなら『マジンガーZが全力疾走しても兜甲児は快適だ!』みたいに真っ当な結論を導かないとイカン。
これの指摘で柳田は書き直したが、それでも『人間が大股で歩いたら、達人でも上下動3cm』などとバカな前提をでっち上げている。競歩の選手や100m走の選手のスーパースロー映像を見ると、頭の上下動は全くしていない事に驚かされる。コレが現実だ。
いちいち歩くのに1歩で3cmも上下動してたら、歩くだけで乗り物酔いするよ。柳田理科雄はバカなのだ。

私の推定では、
イスカンダル・ガミラス間は地球・月間と同等以上、4倍未満
っと思います。
これでもカナリ大きく見えるもんね。
それで範囲を狭めると。
MASA Planetary Logの
恒星サンザーとイスカンダル~宇宙戦艦ヤマトが旅する世界では、イスカンダルとガミラスの距離について
『互いに同じ半球を向けあうようになったところで、公転軌道も確定するという経過をたどるのでしょう。』
っと記述されていますが、地球と月が朝夕固定される距離が約50万kmで落ち着くと推定されています。
イスカンダルとガミラスの距離についても36万km以上、50万km未満では無いかなあ?

また、同じくMASA Planetary Logの
では
『陸地そのものがかなり少ないのは、惑星そのものがまだ若く、大陸地殻の形成が進んでいないのかもしれません。』
っと推定していますが、もし海の水が地球よりも大量にあれば、大陸地殻そのものが水没しているかも知れません。
または、大陸地殻はプレートと一緒に沈み込んでしまうと言う「日本沈没」か「日本以外全部沈没」状態なのかも知れません。
何せ、地球よりも直径が大きく、惑星内部の状況も地球とは随分と異なる筈なので(推定はできるでしょうけど?)マントル対流が激しくて大陸地殻をマントル内に飲み込んでいるかも知れません。
そーすると、地球よりも古い惑星かも知れません。

でも決め手が無い。

まあ、アニメで描かれる情報量だけで惑星の姿を推定する事など難しいと言う話ですわ。
スタッフはドコまで考えているか?
または、こういう情報をアレコレ検索して突っ込まれない様に後付け設定を考えるか?


2016/10/14:追記
「空想科学読本」を見直したら、最初から柳田理科雄
「いくら達人でも、大股の早足で歩けば、3cmの上下動はするだろう」
と書いてた。書き直したわけではなかった。

もっとも3cmも上下動して歩く物好きなんか存在しないだろうが。

2016/11/13:またまた追記
「空想科学読本」を再度見直したら
「いくら達人でも、大股の早足で歩けば、3cmの上下動はするだろう」
の後に
「どんなにフォームのきれいな陸上選手でも20cm程度の上下動はしてるだろう」
と書いてあったわ!
そんな器用な人間が存在するか!
物理法則無視してるやんけ。